プラスチック業界で資源循環と環境保全に貢献する方法を模索している方々へ、数ある中でも今回はエコマークの重要性とその利点について分かり易くお伝えできたらなと思います。また、近年の再生原料に対する取り扱い等とすごく近い要素がたくさんあります。
エコマークの基本から、その認知度、効果、課題、そしてプラスチック業界での活用について少しでも理解を深めていただけたら幸いです。
エコマークとは何か?
エコマークは、製品のライフサイクル全体で環境への負荷が少なく、環境保全に貢献すると認められた商品に与えられる環境ラベルです。持続可能な社会づくりを目指し、エコマークがついた商品は消費者に環境への配慮を促し、企業に環境改善への努力を促進します。
エコマークの由来
エコマークの歴史は古く、1987年から1989年にかけて、日本環境協会が環境庁の委託で調査を行ったことがスタートのきっかけでした。西ドイツの環境保護ラベル「ブルーエンジェル」などを参考にし、エコマークの基本的なアイデアが形成されました。
1989年から日本環境協会がエコマーク事業を開始し、最初の年には「特定フロンを使用しないスプレー製品」など7つの品目が認定されました。2021年には認定事業者は1,345件、認定商品は44000点以上に達しています。
エコマークのデザインと意味
エコマークのデザインには、「環境(Environment)」と「地球(Earth)」の頭文字「e」を表す、地球を包み込む人間の手のイメージが込められています。このデザインは環境庁長官賞に選ばれた作品を基に制定され、消費者の環境への願いが表現されています。
こういったデザインを考える力は自分にはなく、羨ましく感じることが多いです、、、
エコマークの認定基準
エコマークの特徴は、商品のライフサイクル全体に焦点を当てた認定基準です。ライフサイクルとは、商品の「資源採取」から「製造」「流通」「使用消費」「リサイクル」「廃棄」までの一連の流れを指します。エコマークでは、各段階で以下の4つの環境評価項目を重視しています。
エコマークの認定基準:商品の持続可能性評価
エコマークは、商品が環境への影響を最小限に抑え、持続可能なライフサイクルを持つことを示す重要な認定です。ライフサイクルとは、商品が生まれる過程から使用され、廃棄されるまでの全工程を指します。エコマークの認定において、以下の4つの環境評価項目が特に重要視されています。
1. 資源の節約と循環利用
エコマークは、商品の製造において資源の適切な使用を奨励します。これには原材料の有効活用、廃棄物の削減、リサイクルプロセスの最適化が含まれます。具体的なデータやエビデンスを提供し、資源の節約と循環利用が実現されていることを示すことが大切です。
2. 地球温暖化の防止
温室効果ガスの排出を削減し、気候変動への対策を推進することはエコマークの目的の一つです。省エネルギー技術や低炭素製造プロセスを導入し、製品が地球温暖化に与える影響を減少させることが求められます。具体的な削減量や削減率を示し、エコマーク取得製品の地球温暖化防止効果を証明しましょう。
3. 有害物質の制限とコントロール
エコマークは、有害物質の使用を制限し、安全な化学物質の選択を奨励します。有害物質の含有量を最小限に抑え、製品が人体や環境に及ぼす悪影響を軽減させることが必要です。該当する有害物質の除去や代替品の採用に関する情報を提供しましょう。
4. 生物多様性の保全
生態系への影響を最小化し、生物多様性を保護することもエコマークの要件です。生態系への配慮や森林の適切な管理が必要です。エコマーク対象製品がどのように生物多様性の保全に貢献しているかを具体的に説明し、エコマークの認定基準を遵守していることを示しましょう。
エコマークは、商品の一部分ではなく、ライフサイクル全体における環境への影響を総合的に評価しています。この評価は第三者機関である日本環境協会によって行われ、公平性と透明性が保たれています。
エコマークの認定対象となる商品
エコマークの認定対象は多岐にわたり、日常的に使用される商品から土木建設資材、サービスなどが含まれます。以下は一部の認定対象商品の例です。
- 日用品・家庭用品、ファッション
- OA機器・サプライ、文具・事務用品
- 家電、家具・インテリア
- 土木建築資材・設備
- 業務用資材・DIY、容器包装
エコマークの商品類型は社会への影響や環境への負荷を低減できる可能性が高いものが選ばれ、定期的に見直しが行われます。
エコマークの意義とは
エコマークは高い認知度を持つ環境ラベルであり、消費者には「環境に配慮した商品」として認識されています。しかし、エコマークの商品が環境にどのように貢献するのか、詳細な基準や第三者の審査についての情報が不足していることが課題とされています。
エコマークのプラスチックリサイクルへの効果
- 消費者の意識向上
エコマークは、プラスチックリサイクル製品を識別しやすくします。消費者はエコマークがついた製品を選ぶことで、プラスチックのリサイクルと環境への配慮を意識的に選択しやすくなります。これにより、プラスチックリサイクル市場の成長を促進します。 - 企業の環境への貢献
エコマークを取得する企業は、プラスチックリサイクルに取り組むことを証明します。消費者からの支持を受けやすくなり、競争力を高めることができます。また、エコマークは企業に対して環境への責任を促すことになります。 - 環境への負荷低減
エコマークは、製品のライフサイクル全体で環境への負荷を低減することを要求しています。
プラスチックリサイクル製品は、再生された材料を使用するため、新規プラスチックの生産に比べてエネルギーと資源の消費を減少させ、環境への負荷を軽減します。これらを内外にアピールできるCFPの換算やGRS、CRSの取得など様々出てきています。 - 法的規制の遵守
エコマークを取得するためには、厳格な基準を遵守する必要があります。これはプラスチックリサイクル業界において法的要件を満たすことを意味し、違法な事業の防止に寄与します。
エコマークの課題と改善の余地
- 認知度向上の必要性
エコマークの認知度は高いものの、製品についての詳細な情報が不足していることがあります。
エコマークがついた製品が具体的にどのように環境に貢献するのかを消費者にもっと伝わる仕組みづくりが必要だと思います。 - プラスチックリサイクルの品質向上
一般消費者に向けて、エコマークがついた製品が高品質でなければ、消費者の信頼を損ねる可能性があります。まだまだ再生材は再生材としての評価しかされていない印象ですが、高品質、安定的な再生材料も多くありますが全体的なプラスチックリサイクルにおける品質管理と技術の向上が課題です。 - エコマークの国際的な拡充
エコマークは日本国内での認識が高いですが、国際的な認知度はまだまだ十分でないことがあります。国際的な標準としてのエコマークの拡充がプラスチックリサイクルの国際市場での成長につながります。 - プラスチック廃棄物の削減
エコマークはプラスチックのリサイクルを奨励しますが、プラスチック廃棄物の削減にはまだ取り組むべき課題があります。資源循環促進法をもとに循環型経済への移行に向けて、プラスチック廃棄物自体の削減に組み込む必要があります。
エコマークの認定の条件
エコマークを取得するための順序は以下の通りです。
- 商品認定審査料の支払い(20,000円)
- 認定された後、日本環境協会と「エコマーク使用基本契約」の締結
- 認定基準への適合確認
商品類型によっては、新規商品類型の提案への応募も必要となります。この場合、認定までに1〜2年程度の時間がかかることもあります。
第一歩目としてはエコマーク事務局にて資料をダウンロードするところから始められます。https://www.ecomark.jp/acquire/
エコマークの重要性
エコマークは今や私たちの生活に広く浸透していますが、その仕組みや意義についてはまだ理解されていないことも多いかもしれません。
私自身、この業界で仕事をするようになるまでは、ほとんど無知で興味もありませんでした。
しかし現在ではエコマーク認定商品・事業者数は増加し、商品類型も拡大しています。今後、消費者と企業はエコマークの意義をより理解し、環境への配慮を意識的に選択することが重要となります。
エコマークはプラスチック業界において、環境への取り組みをアピールする手段として大いに活用できます。持続可能な未来を築くための第一歩として、エコマークの活用を検討してみてください。
(参考)
- エコマーク事務局
- 環境省