プラスチックリサイクルの基本を知ろう

こんにちは。中定樹脂の林でございます。

改めまして、弊社はバージン材、再生材(リサイクル材料)のカラーコンパウンドを中心に、その他マテリアルリサイクルを行う会社でございます。
創業当時より地域に密着しながら様々な樹脂スクラップを価値ある原料へと生まれ変わらせてきました。

今記事は経済社会におけるプラスチックリサイクルの一端を担う立場として、国内での全体的なプラスチックのリサイクルについて、少しでもご説明できたらなと思います。

弊社は創業当時よりカラーコンパウンド業務とともに、プラスチックの再生事業を行なって参りました。

小規模ながら、さまざまな再生樹脂を使用した着色ペレットを製造、販売してきましたが、様々な要因で今後は更なる資源循環を目標に色々な取り組みに挑戦しなければなりません。

まず、大前提としてプラスチックは人類にとって必要なものです。
そして混ぜればゴミ、分ければ資源、そのものだと考えます。

みなさん、リサイクルといえば何を思い浮かべますか?

経済社会ではプラスチックやアルミ、鉄や銅にガラスなど様々な性質の素材がリサイクルされています。

リサイクルの定義として

「リサイクル(英: recycling,recycle)は、人間から排出された資源(またはエネルギー)を再度回収して利用すること。「再生利用」「資源再生」「再資源化」「再生資源化」などと訳される。廃棄物等の再生利用は、資源・エネルギー問題の深刻化に対応するための長期的な資源確保のための手段という観点、本来処理されるべき廃棄物量の減少(減量化)という2つの観点をもつ。」

となっており、資源には限りがあり、焼却、埋め立てにも限度があるということです。人間という成長を続ける生物に課せられた使命です。

プラスチックリサイクルにはどんな種類があるかご存知でしょうか?

本記事では更なる循環型社会の実現に向けて世界がサーキュラーエコノミーという考え方に移行していく中で、改めて資源循環に伴うプラスチックリサイクルの種類について書こうと思います。

目次

【3種類のプラスチックリサイクル】

日本国内におけるプラスチックリサイクルには大きく3つの方法があります。
それぞれの概要や特徴など、簡単に分かりやすく説明したいと思います。

ケミカルリサイクルとは

廃プラスチックを原料やモノマーに戻して再利用する方法です。

その他に廃プラスチック高炉で還元剤として再利用したり廃プラスチックをガスにして化学工業で原料として再利用、さらに廃プラスチックを油に戻して再利用したりと様々です。

有名なものでは、スーパーなどで使用されている食品トレーを製造、販売する「エフピコ」が以前から取り組んでいる循環リサイクルに加え、DICと共同でケミカルリサイクル技術を用いて食品容器で使うポリスチレンの完全循環を社会実装に向けて本格的に開発しています。
                              https://www.dic-global.com/ja/news/2022/ir/20220802165225.html

国内の廃プラスチックの総排出量は2020年時点で800トンを超えておりますが、ケミカルリサイクルされるのはその内3%ほどです。

全体の3%って聞くとすごく少なく感じますね。

これに関しては、廃プラスチックの安定的確保や添加剤の処理問題などが技術面やコスト面において、まだ難しそうです。

通常、リサイクルは繰り返すたび劣化していきます。
その点、ざっくり言うとケミカルリサイクルはプラスチックを油まで一度戻すという作業をします。
そこから新たに合成樹脂として生まれるので新材と同じ強度がもたらされることになります。

強度が必要な工業部品などにも使用することが出来るため単純に考えるとこれが一番すごいですね。





サーマルリサイクルとは

廃プラスチックを焼却する際に発生する「熱エネルギー」を回収して利用するリサイクル方法です。熱回収などともいわれており、回収された熱エネルギーは、地域発電や温水プール、ボイラーなどに活用されています。

日本国内ではゴミ発電が主流となっており、廃棄物をエネルギーに換える技術開発が積極的に行われてきたため、サーマルリサイクルは技術面・開発面でも優位性を築いています。

そのため日本国内ではサーマルリサイクルの割合が6割を超えているそうです。

日本でリサイクルが進んでいるといわれる理由はこのサーマルリサイクルという名ばかりの焼却処理です。

埋め立てよりは良いと思いますが、熱回収される廃プラスチックの中にも、分別と回収さえ確立させればキチンとリサイクルできるものは非常に多くあります。

温室効果ガス問題に伴うカーボンニュートラル達成に向け、リサイクルバランスの見直しやバイオプラスチックの使用促進など、日本はこれらの問題にもこれから取り組んでいくことになります。

プラスチック製造事業所から排出するプラスチックダンゴや、端材などの中には、どうしても異樹脂が混ざり合うことがあります。
その場合、再素材化は難しくなるため、各社委託先の産業廃棄物処理企業の手により固形燃料化やセメント向けにキチンと処理していただく必要があります。

マテリアルリサイクルとは

マテリアルとは「モノ」を指します。
モノからモノへ。これがマテリアルリサイクルです。

循環型社会の実現にはマテリアルリサイクルを通して、事業者、消費者、自治体それぞれの役割を明確にし、それぞれの責任を果たさなければなりません。

プラスチックのマテリアルリサイクルには多種多様な形や手法があり、自治体が行うものから、大企業から中小企業までが独自に行う製品のマテリアルリサイクルがあり、それぞれの循環スキームが構築されております。


一般的に有名なのはペットボトルのリサイクルだと思います。
最近ではサントリーのCMなど流れてますね。

ペットボトルからペットボトルなど、新たに同じ製品に向けてリサイクルする方法を「水平リサイクル」といいます。
ペットボトルの水平リサイクルは透明性を保つのが難しく市場ではまだまだ発展途上だったのが、いま国内ではボトルToボトルの技術開発が目覚ましく、実用化に成功している企業が多数誕生しています。


それとは別にペットボトルからペットボトル以外の何かに生まれ変わらせる方法を「カスケードリサイクル」といい、モノの物性値など高品質が要求されるペットボトルではなく、低い品質のモノに変えるため、ダウンサイクルと呼ばれています。
(某企業のペットボトルからカーペット製造など)

数多くの種類のプラスチックがある中で、ペットボトルはPET(ポリエチレンテレフタレート)という種類の樹脂で、ボトルの他にもシートやフィルム、繊維など様々な素材として加工が可能で、PPやPEなどと同様に身の回りに沢山存在しています。


https://www.petbottle-rec.gr.jp/ (PETボトルリサイクル推進協議会)
こちらのページにて国内企業が行う循環型の事例を見ることが出来ます。


経済社会ではこういった企業の取り組みだけではなく、市場回収に加え、プラスチック業界で事業所から排出される再生材料はさまざまな所で発生し、その量も半端ではありません。

そして、マテリアルリサイクルを目的として回収してくる再生材料は、それぞれのルートをたどり大きく分けると「プレコンシューマー品(事業所端材、不良品)」「ポストコンシューマー品(市場回収品)」の2種類に分かれています。

プレコンシューマー品とは成形工場などの事業所から発生する端材や、成形不良品などの場合が多いですが、精密部品など高品質が求められる製品には粉砕リターンする事が認められない場合があり、一度出たランナーはそのまま排出することになります。

一度成形されただけで、一度も市場に出回ることの無い材料ですので熱履歴、物性劣化の大変少ない再生材です。

リペレット加工し事業所内でリターンする場合、メーカーによって様々ですが一定の割合でバージン材に割り合わせて使用します。

ポストコンシューマー品とは一度消費者の手に渡り、使用し処分された後、産業廃棄物回収業者によって回収されたものです。

ポストコンシューマー品も、民間企業や自治体が共同で一定の種類を分別した状態で回収し、水平リサイクルやアップサイクルに向けて再商品化する場合は、ある程度フローに沿って進められます。

ここで、互いに共通して一番大切なことがあります。

それは、素材となる再生プラスチックの”分別”です。

工場端材においては事業所内での管理が全てですが、市場回収品となると、より一層、業者間で仕分けや分別の意識が求められます。

プラスチックには汎用からエンプラ、スーパーエンプラなど様々な種類がありますが異なる樹脂同士が混ざると、極端に物性が劣化し製品に使用することが出来ません。


輸出リサイクル業者の様な色々な種類の廃プラスチックを自社で回収し再生加工、販売する業者にとっては、回収した廃プラスチックをかなり念入りに分別しなければなりませんが、大型の設備が整っていないと、かなりの人手を要することになります。

細かく粉砕し、押出機にてペレット化しますが、汚れが酷い場合には洗浄しなければ異物の原因となり、ルーダー機で安定して押し出す事が出来ません。

こちらの材料は回収するまでに目に見えない様々なダメージを受けている場合が多いため、劣化状態を見極め、用途に合わせ物性の劣化が少ない樹脂や新材とともに混ぜ合わせたりしながら使用しなければなりません。

例外ですが、溶融温度の高い樹脂の中に溶融温度の低い樹脂が混ざっても(ABSの中に微量のPS)、ごく少量であれば影響が少なく済む場合もありますが、それでも基本はNGです。

分別には多種の選別方法や機械設備が存在しますが基本的に人の手で分別するため、時間と場所が必要です。

そのほかにも回収費用やリペレット費用、他製品サイクル時の着色材費用、さまざまな要素でコストがかかります。

これら全ての課題をクリアしなければサーキュラーエコノミーにおける再生材料の普及や循環、さらに環境に対するユーザーの意識までレベルを上げることは出来ません。

今までは「再生材=安価」といった認識があり、環境保全の意識というよりかはコスト削減の方が重視されていた傾向がありますが、この先はバージン材よりコストをかけてでも再生樹脂の利用が進んでいくと予想されます。

しかし、単に再生材料を使えば良いというわけではなく、その先の出口戦略も含めた資源を循環させる仕組み作りが今後は必要となってきます。

これらはすべて廃棄物を国産の資源として確保する為や温室効果ガス削減のために、日本国内全体が一丸となり、取り組んで行かなければならない問題です。

そもそもガソリンやプラスチックの原料である石油のほとんどを輸入に頼っている日本にとっては欠かせないプログラムでもあります。

それだけでなく日本はカーボンニュートラルに向け2030年には温室効果ガス46%削減(2013年比)するとし、さらに50%にも挑戦、2050年には達成を目標としています。

テレビや新聞などでも、SDGsや循環型社会、サーキュラーエコノミーなどという言葉を良く耳にするようになり、それに伴う新たな法律が作られたりと、環境への意識を変えていこうとしています。(プラスチック資源循環促進法)

(サーキュラーエコノミーとリサイクルは混同されやすいですが、指す内容が異なるため比較対象ではありません)

こうした動きの中で枯渇資源を守り、環境負荷を限りなく抑え、地球を守っていこうという意識の高まりから、様々な大企業から中小企業さらに自治体などがマテリアルリサイクルにて「モノ」から「モノ」へ循環させる動きが世界中で活発化してきています。

私たちリサイクル関連事業者は狭い視野に囚われず、互いに協力しながら、さらなる循環型社会の実現の為に、新たな取り組みに挑戦していかなければなりません。

弊社では、マテリアルリサイクルを通じて資源を守り、循環させる事が出来ると信じて再生プラスチック素材を取り扱っております。

【最後に】


弊社はSDGS活動に取り組むこれからの企業様を応援いたします。

資源高騰や国際情勢など様々な問題が取り巻いているうえ、樹脂業界においても化学メーカーの統廃合や各施設の老朽化、さらに少子化によるこの先の人手不足、などなど不安要素はたくさんありますが、私たちはこれからも変わらず常に前向きでお客様に寄り添いながら社会に貢献していきます。

ここで私が書いたことではプラスチックリサイクルや今の環境問題は到底伝えきれていません。(たぶん1%ぐらい笑)

ですが、少し調べれば情報はたくさん溢れています。

日本国内だけでなく、海外で注目されている事柄にも目を向けていく必要があります。

私たちは、国民一人一人が少しでも環境問題や資源の有効活用について関心を持ち、何かしらのアクションを起こすこと。そしてその積み重ねが地球とヒトの未来にさらなる大きな発展をもたらすと確信しています。

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