大手メーカーが採用した再生プラスチックの実例と導入の決め手

環境規制の強化やSDGsの推進により、大手メーカーが再生プラスチックの採用を進めています。この記事では実際の国内事例を紹介し、なぜ彼らが再生プラスチックを導入したのか、その決め手となった要素を探ります。

目次

1. 再生プラスチック採用の背景

近年、大手企業様では以下のような理由から再生プラスチックの利用が加速しています。

  • 環境規制の強化(プラスチック資源循環促進法、企業の環境報告義務)
  • コスト削減の必要性(原油価格高騰によるバージン樹脂原料のコスト増)
  • 消費者意識の変化(環境意識の変化、サステナブル製品への需要拡大)

このような市場の変化の中で、特に家電、自動車、食品包装の各業界が再生プラスチックの活用を進めています。

2. 国内大手メーカーの採用事例

【事例1】パナソニック様:家電製品の再生プラスチック活用

導入製品:洗濯機・冷蔵庫の外装部品
使用素材:PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)の再生ペレット
採用の決め手:コスト削減+CO₂排出量の削減

パナソニックは、国内で発生した廃家電を回収・分解し、それらから得られるプラスチックを「資源循環型プラスチック」として再利用しています。2021年度には、家電製品に使用するプラスチックの約10%を再生プラスチックに置き換え、年間約8,000トンのバージン材削減を実現しました。

再生材の使用は、単なる環境対応だけでなく、原料コストの変動リスクを抑える目的もありました。家電業界ではバージン材の価格が高騰するたびにコスト増の問題が発生するため、再生材を安定供給できる仕組みを整えることで、長期的なコスト競争力を確保しました。

”パナソニック、再生家電の販売事業拡大 サーキュラーエコノミーの実現めざす

【事例2】トヨタ自動車様:バンパーのリサイクル活用

導入製品:自動車のバンパーや内装部品
使用素材:再生PP(ポリプロピレン)
採用の決め手:軽量化・耐久性・安定供給

トヨタは、廃車になった自動車のバンパーを回収し、それを粉砕・精製して再生PPとして新たなバンパーに活用する「バンパー to バンパーリサイクル」を推進しています。このプロジェクトでは、品質の均一化や異物除去が課題でしたが、選別技術や押出加工技術の改善により、再生材でもバージン材と同等の耐衝撃性を確保できるようになりました。

2023年には、一部の車種において再生PPの使用率を50%以上に引き上げ、CO₂排出量の削減にも貢献しています。

”クルリサ 〜クルマとリサイクル〜”

【事例3】資生堂株式会社:再生PETを使用した化粧品ボトルの導入

導入製品:シャンプーボトル(エリクシールなど)
使用素材:再生PET
採用の決め手:環境負荷低減

資生堂は、化粧品のボトルに再生PET(ポリエチレンテレフタレート)を採用し、環境負荷の低減を図っています。再生PETを使用することで、石油由来の新規プラスチック使用量を削減し、持続可能な製品作りに貢献しています。

再生PETを使用することで、化粧品ボトルの製造における環境負荷を削減し、CO₂排出量の低減に貢献しています。再生PETは、通常のプラスチックと同等の品質を保ちつつ、石油由来のバージンプラスチックの使用を減らすことができるため、資源の循環が進みます。

”資生堂グループ企業情報 | サステナビリティ”

3. 再生プラスチック導入の決め手

従来では再生原料の採用によって得られるメリットは低コストだけでした。
しかし上記の事例から大手メーカーが再生プラスチックを採用する際のポイントを整理すると、大きく以下の3つが重要な決め手となっているのがわかると思います。

① コスト削減・価格安定

バージン材価格の変動リスクを低減し、長期的にコスト競争力を維持できるかどうかが一番大事なポイントとなります。
近年バージン材よりも高価な再生原料も出現しておりますが、まだ全体的にはバージンと同等もしくはそれ以下となっております。

② 環境対応(CO₂削減・規制順守)

企業の環境目標や規制対応(プラスチック資源循環促進法など)に貢献できるかどうか。特に今後はLCA(ライフサイクルアセスメント)でのCO₂排出量削減データが重要視される。

③ 品質の安定性・供給の継続性

バージン材と同等の強度・耐久性を確保できるか、また安定的に供給できるサプライチェーン体制が整っているか。さらには異物混入や経年劣化のリスクを抑える技術力が求められる。


4. まとめ

大手メーカーの再生プラスチック採用は、単なるコスト削減だけでなく、環境対応や消費者ニーズの変化が大きな要因となっています。

特に、今後の市場では「再生材の品質向上」「LCAの数値データ提示」「安定供給の仕組み構築」が求められるため、これらのポイントを押さえた提案ができる企業が競争優位性を持つことになります。

再生ペレット・再生樹脂の導入を検討する企業にとって、どのような品質基準が必要か、また導入の具体的なステップについて、今後さらに掘り下げた情報を発信していきます。

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