当社で日頃カラーリングなどを行う熱可塑性樹脂の原料には雑貨などごく一般的な用途に使用されるものの他に複合材で改良された複合樹がが沢山あります。
複合樹脂とは2種類以上の材料を組み合わせた材料のことで、もともとの材料よりも優れた特性を持たせた材料です。
目的や用途によって組み合わせる材料を選びます。樹脂と樹脂をアロイ化(合金化)されたものや、母材となる樹脂に繊維など強化材を複合させたものなど様々です。
そんな中でも頻繁に登場するのが家具から家電、建築資材に電子機器部品など様々な用途に使用されているガラス繊維強化プラスチック(GFRP)という強化材料です。
これに対抗する複合樹脂も各メーカーや大学等で研究が進んでおりますが、コスト面や量産化の面で実用化が普及しておらず、まだまだ社会に必要とされているガラス繊維強化プラスチックですがそもそも一般的にはあまり知られていませんよね。
本日はそんなFRPといわれる繊維強化プラスチックの一種であるガラス繊維強化プラスチックについて解説していきたいと思います。
FRP(Fiber Reinforced Plastics)とは?
FRP(エフアールピー)とは「Fiber Reinforced Plastics」の頭文字をとったもので「繊維強化プラスチック」と訳されます。
正確にはFRPのマトリックス(母材)として、一般的に不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を使用することが多くエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂を使用など熱硬化性樹脂を母材にしたものを指します。
戦前、主に航空機用に開発が進んだFRPは、軽さや剛性の高さ、耐候性の高さなどで注目を集めました。現代では生産技術向上も相まって、運輸機器や住宅設備、建材など幅広い分野で使用され、活躍の場を広げている材料です。
軽量なのは良いが、弾性率が小さく(変形しやすい)強度の低いプラスチックに、ガラス繊維などの強化材を混ぜることで弾性を大きくし、強度を高めた複合材料です。FRP(繊維強化プラスチック)には代表的なものとしてガラス繊維強化プラスチックと炭素繊維強化プラスチックの二種がよく知られます。
FTP(Fiber Reinforced Thermoplastics)とは?
中定樹脂では熱可塑性樹脂を主に取り扱うため、ABSをはじめPC、PBT、PPEが特に身近ですが、その他熱可塑性樹脂も全てにおいてガラス繊維強化されることがあり、これら熱可塑性樹脂の繊維強化は正確にはFTP(Fiber Reinforced Thermoplastics) と呼ばれ、熱硬化性樹脂と区別されます。FTPは主にガラス繊維強化プラスチックのことを指します。
ここからは弊社が日頃コンパウンドする熱可塑性樹脂でのガラス繊維強化プラスチック原料(FTPペレット)についてとなります。
FTPペレット原料の概要
熱可塑性樹脂におけるガラス繊維強化プラスチック(FTP)の解説に行く前にそもそもガラス繊維とはどんなものなのか少し説明します。
ガラス繊維の歴史
ガラス繊維の始まりは紀元前にも遡ると言われており、はじめはドロドロに溶けたガラスを棒などで引き糸状の尾がひくところから発想されたと言われています。ガラス壺の周りにガラス糸巻きつけた工芸品などが作られていました。を20世紀初頭になるまでは工業化に至っておりませんでした。
断熱用の石綿をカナダより輸入していたドイツは第一次世界大戦によって入手困難となり、石綿代替のガラス繊維の研究に取り組みんだ結果、1917年工業化に成功。これがガラス繊維の工業化の引き金となったといわれています。
ガラス繊維の種類
生ガラスなどとよばれるガラス繊維にはグラスウール(短繊維)とグラスファイバー(長繊維)の2種類あり、前者は高い断熱性と不燃性から住宅の断熱材などに使われています。
ガラス繊維は高い引張り強度、寸法安定性、電気絶縁性、耐熱性が高い不燃繊維、ガラス繊維としての吸水性はない、耐薬品性があるなど多くの特徴をもっています。さらに重さは鉄の1 / 5、アルミの 1 / 2 で、水、海水、汚水、各種化学薬品に優れた耐蝕性がある上しかも強さは金属並だそうです。。。
プラスチック成形ではグラスファイバー(長繊維)が添加されたガラス繊維強化プラスチックを原料として使用します。
主に短く切断されたチョップドストランドのタイプを使用します。その中にも無アルカリガラスと呼ばれる耐熱安定性に優れたEガラス、さらに強度や弾性を向上させたSガラス、屋外での酸化防止を目的としたGガラスなどのタイプがあります。
基本的には全体バランスに優れたEガラス繊維が使用されています。
これらからも機械的強度や靭性において非常に大きな役割を果たすガラス繊維は高機能な素材なのが分かると思います。
FTP(Fiber Reinforced Thermoplastics)概要
FTPと呼ばれる熱可塑性樹脂をマトリックスとした複合材の中でもガラス繊維強化原料(FTPペレット)は最も安価で広く普及しています。
主に引っ張り強度、圧縮強度、寸法安定性を向上させ良好な機械特性、耐薬品性、誘電特性を備えており成形自由度が高く、自動車や電車、船舶など様々な内装、外装にも使用されます。
FRPは、可塑性材と非可塑性材の利点を組み合わせて実用材として用いる点において、鉄筋コンクリートと同じような構造をしています。このような複合材料において、強化される側の樹脂を母材(マトリックス)と言います。
一般的にガラス繊維で強化されたプラスチックは剛性が増します。それに加えナイロン樹脂やポリエステル樹脂など結晶性のエンジニアプラスチックにおいては熱変形温度や衝撃強度も向上することで知られ、そのほかにも比較的自由に着色でき、複雑な成形が可能となっています。
中定樹脂のカラーリング業務では主にメーカー新材を使用することが多いですが、再生材においては樹脂原料とチョップドストランドを所定の割合で着色材とともに混合し、押出機にてペレタイズするなどユーザー様との原料開発にも積極的に取り組んでいます。
一般的にガラス繊維で強化されたプラスチックは剛性が増します。それに加えナイロン樹脂やポリエステル樹脂など結晶性のエンジニアプラスチックにおいては熱変形温度や衝撃強度も向上することで知られ、そのほかにも比較的自由に着色でき、複雑な成形が可能となっています。
中定樹脂のカラーリング業務では主にメーカー新材を使用することが多いですが、再生材においては樹脂原料とチョップドストランドを所定の割合で着色材とともに混合し、押出機にてペレタイズするなどユーザー様との原料開発にも積極的に取り組んでいます。
FTP、FRPの用途例
- 自動車、漁船、電車等の部品や機体
- ゴルフクラブ、サーフボード、ラケット等のスポーツ用品
- 浴槽や洗面台等の住宅設備
- 公園遊具やベンチ、テーブル
- 通信用アンテナカバー、ドーム天井
- プリント基板
- 家電製品や家具製品など
以上、熱可塑性樹脂におけるガラス繊維強化プラスチックについて簡単にまとめました。
中定樹脂では今日まで汎用樹脂をはじめエンプラまで様々な種類のガラス入り原料をコンパウンド、リペレットしてきました。
各メーカーから上市される新材や、プレコンシューマ材への着色をはじめグラスファイバー(長繊維)を自社調達、保有し再生材を用いた成形材料の開発も行なっております。射出成形におけるガラス繊維強化プラスチックに関してのお問い合わせはぜひ中定樹脂まで。
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/pub/pdfpreview/fiber1944/40/11_40_11_P639.jpg
https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/123-pdf/+123-p055.pdf
https://www.glass-fiber.net/org.html